親指Blog

キーボードによる文字入力関連(主に親指シフト)のBlogです。過去記事には色々入ってますが気にしないでください。

ローマ字配列が愛される理由その2

 前回は打鍵数から見るローマ字入力の学習しやすさについて述べた。今回と次回は最大の問題であるキーボード(配列)について述べてみたい。

 

 ローマ字入力が定着した背景のひとつにQWERTYキーボードがある。PCが英語圏からもたらされたもので、キーボードのベースがタイプライターである以上、QWERTY配列が標準になるのは当然の成り行きだろう。だが日本語どころか、英語にも入力効率が悪いと言われているQWERTY配列は、批判の対象にもなることも多い。

 しかしそう言われつつも、現在圧倒的大多数のユーザーを掴んでいるのは厳然たる事実だ。はたしてそれはなぜなのか? 

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 これは一般的なQWERTY配列のキーレイアウトだ。現在ではほぼ9割の人がこの配列を使っているようだ(又聞き)。アルファベットがランダム的に配置されているように見え、初めてキーボードを叩く人には覚え難い配列に思えるのではないだろうか。
 
 だが実はQWERTYは、意外と覚えやすい配列となっているのである。

 

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 上図を見てほしい。QWERTY配列は、ホームポジションがあるもっとも打ち易いC段に、左からほぼABC順に配置されている(SキーとBキーが入れ替えられてはいるが)のである。
 C段左端からA~Lまで並べ、折り返してB段にMNを配置。I、C、EなどはちょっとB段とD段にはみ出しているが、探し難いわけではない。O~UまではD段に配置。一応母音であるO、Uは小指を避けるぐらいの判断はついたようだ。
 V以降のアルファベットはB段とD段に適当に配置といったところか。

 ※2016/1/22追記:YはQWERTY成立以前の初期の段階で、母音としてD段に設定されていたようだ。 

タイプライターからコンピュータへ:QWERTY配列の変遷100年間(1)

 E、W、YをD段にしたのは、「TYPEWRITER」をD段だけで打てるように配置されたからと言われている。B段のB、C、Vの位置関係はちょっとした謎だ。適当なのか何か理由があるのか? これだけいい加減な並べ方だと出現頻度を調べたとはちょっと思えないが……。
 

 このようにQWERTY配列は、構造が分かってしまえば非常に覚えやすい配列だ。たった26キーで済むアルファベットや、前回のローマ字の覚えやすさとあわせると、学習コストの低さは他の配列の追随を許さないだろう。

 

 しかし、しかしだ。

 いくら覚えやすくても、打鍵数が多ければ効率は下がり手は痛む。QWERTY配列でのローマ字入力は特に小指への負担が大きいと言われている。次回はいよいよお待ちかね、ローマ字入力の打鍵数からQWERTY配列を見直してみたい。